・・・捜査のすすむにつれて三鷹の組合の副委員長をしている石井万治という人は嫌疑をかけられている書記長の自宅を訪問し、他所へつれて行って饗応し、ノートをひらいて、緊急秘密指令三百十一号、三百十八号というものをみせ、あなたのことについては骨を折るとい・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ショウモンの砲台にはヴェルダン司令部があった。 飲料の貯水池が砲台の奥にあって、撃破されたコンクリートの天井が黒い澱み水の上に墜ちかかっているのが、ランターンのちらつく不安定な灯かげの輪のなかに照らし出されて来る。 グーモンへ着いた・・・ 宮本百合子 「女靴の跡」
・・・ 連合軍司令部は、総選挙の結果によっては、もう一度議会を解散させる方針であるということを、アメリカの新聞から伝えられました。 私たちが、まだ十分自覚し用意していないすきに乗じて、再び人民に軛をかける金持、地主、ダラ幹の政党が、バッコ・・・ 宮本百合子 「幸福のために」
・・・ 党は、青年部にそういう消極的な戦術についての指令は、どんな時にでも与えたことはなかったというのが、第一の若い大衆からの批判であった。まして、社会主義的戦線の拡大と強化に熱中している一九二八年以来の実際に即して観察すれば、作家ベズィメン・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 階級闘争としての戦争=帝国主義の侵略に対して、社会主義を防衛する戦争においては、軍事司令部だけが働くのではない。党の政治部は、例えば、「チャパーエフ」を読んでもよくわかるように、闘争の重大な理論的指導の任務を帯びる。 ソヴェトのプ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・即ち赤松は軍部の指令によって或る革命的カンパニアの日にでも、暴動を挑発する。==総同盟系の反革命的労働者を煽動して、一定の公共物を襲撃させる。すると、直ちにそれを共産党の蜂起とデマり、鎮圧の名目で軍隊を繰り出し、市街戦で革命的労働者、前衛を・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・当時連合軍総司令部から発表された指令の一つ一つをかえりみてもそれは明瞭であるし、日本政府も、このことを好まないにかかわらず、日本の民主化は世界によって課せられた義務であると理解した。いろいろとんちんかんなことはあったにしろ、大局において日本・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・当時連合軍総司令部から発表された指令の一つ一つをかえりみてもそれは明瞭であるし、日本政府も、このことを好まないにかかわらず、日本の民主化は世界によって課せられた義務であると理解した。いろいろとんちんかんなことはあったにしろ、大局において日本・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・物狂いと云い、生霊、死霊と云い、そこでは普通でない人間に対する怖れがある。謡曲は僧侶の文学とされている。女のあわれな物語を、現代の闇商売で有閑的な生活に入った人々が唸っているのは、腹立たしく滑稽な絵図である。 徳川家康が戦国時代に終止符・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・十二月五日『東京新聞』に総司令部の人権擁護班長ガートスタイナー氏が人権宣言の趣旨について語っていた。「人権とは政治的自由だけを指すものではなく、さらに働く権利、社会保障をうける権利、相当な生活水準を維持する権利などの社会的経済的諸権利をも含・・・ 宮本百合子 「世界は求めている、平和を!」
出典:青空文庫