[助動][さ|し|す|す|せ|せ]《上代語》四段・サ変動詞の未然形に付く。軽い尊敬、または
親愛の意を表す。…なさる。
- 「我が形見見つつ偲 (しの) はせあらたまの年の緒長く我も思はむ」〈万・五八七〉
[補説]「思ふ」「聞く」などに付くときは、「思ほす」「聞こす」となる。また、「着る」「寝 (ぬ) 」「見る」などの上一段動詞にも付くが、そのときは「けす」「なす」「めす」の形をとる。「古 (いにしへ) を思ほすらしもわご大君吉野の宮をあり通ひ見 (め) す」〈
万・四〇九九〉など。平安時代以降は敬語動詞「おぼす」「めす」「聞こしめす」「つかはす」などの中の構成要素となる。