・・・これはドイツで Dampflcher と称するものだそうで、この成因はあまり明らかでないらしい。田中阿歌麿氏著、「諏訪湖の研究」上編七一六ページにこれに関する記事と、写真がある。数年前の「ローマ字世界」にも田丸先生が、この池のものについてお・・・ 寺田寅彦 「池」
・・・かんずく本邦学者の多年の熱心な研究のおかげで颱風の構造に関する知識、例えば颱風圏内における気圧、気温、風速、降雨等の空間的時間的分布等についてはなかなか詳しく調べ上げられているのであるが、肝心の颱風の成因についてはまだ何らの定説がないくらい・・・ 寺田寅彦 「颱風雑俎」
・・・雨氷の成因については岡田博士もかつてその研究の結果を発表された通り、やはり上層の雨滴が下層の寒気に逢うて氷点下に冷却され、しかも凝結の機縁を得ないために液状で落下し、物体に触れると同時に先ず一部が氷結し、あとは徐々に氷結するのである。 ・・・ 寺田寅彦 「凍雨と雨氷」
・・・ 日本の島環の成因についてはいろいろの学説がある。しかし日本の土地が言わば大陸の辺縁のもみ砕かれた破片であることには疑いないようである。このことは日本の地質構造、従ってそれに支配され影響された地形的構造の複雑多様なこと、錯雑の規模の細か・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・宮崎県では、大事な名所の一つとしているのだろうが、島中に青島神社を祭ったぎり、その特徴ある島の成因について、科学的な説明を与えた印刷物などはどこにも売っていない。潮流の工合で、南洋からそういう植物をのせたまま浮島が漂って来て、大仕掛の山葵卸・・・ 宮本百合子 「九州の東海岸」
・・・今は彼女たちも、ソヴェト権力に護られた婦人社会成員なのだ。二百八種もの民族語の新聞が刊行されるようになって来た。 僅か三パーセント位しかなかった小学校入学率は、全ソヴェト同盟の文化水準向上につれてドンドン多くなって来た。五ヵ年計画で八歳・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・その工場でウダールニクはどんな階級闘争の歴史をもって組織され、成員はどんな連中であるかを知らないで、そこの労働者クラブを飾る壁画、見るものを鼓舞するような絵は描けない。 芸術家と勤労者とは手にもっている道具の違うことについて新しい自覚を・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・しかも、外部的にそういう社会条件がなり立ったばかりでなく、そのように新しくなった社会の成員の感情の内部までも、新しい発展に立つようになったとき、はじめて、「アンナ・カレーニナ」は一つの社会によって卒業された文学と云えるのである。 ソヴェ・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・は最後の網となって経済能力の弱い母の手から脱落しようとする子を社会の成員として受けとめるのである。 女の中に予期された母性の経済的独立を保証する為、離婚法は、女に職業能力がない場合、一年間生活保証すべき義務を夫に示している。 合法的・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 大戦前後、先ず高まった一般の購買力のあらわれの一面として自身を表現した読者たちは、あの時代にはやがてそのような景気のいい購買力を失っても猶続く自分たちの社会成員としての力を別様に表現して、日本の文学に新しい息ぶきをもたらす文学上の動き・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
出典:青空文庫