・・・わたくしが妹の手を取って遣りますと、その手に障る心持は、丁度薔薇の花の弁に障るようでございます。妹は世の中のことを少しも存じません。わたくしも少しも存じません。それで二人は互に心が分かっているのでございます。どうか致して、珍らしく日が明るく・・・ 著:リルケライネル・マリア 訳:森鴎外 「白」
・・・ デュウゼは薔薇の花を造りながら、田舎の別荘で肺病を養っている。僕はどうかして一度逢ってみたいと思う。でなくとも舞台の上の絶妙な演技を味わってみたいと思う。 シモンズの書いた所によると、デュウゼは自分の好きな人と話をする時には、・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫