《「直 (ただ) 」と同語源》

[名]
  1. 取り立てて値打ちや意味がないこと。普通。「—の人」「—のからだではない」

  1. 何事もなく、そのままであること。無事。「見つかったら—では済まない」

  1. (只)代金のいらないこと。また、報酬のないこと。無料。「—でくれる」「—で働く」

[形動ナリ]
  1. ありきたり。また、ありのまま。

    1. 「—なる絹綾など取り具し給ふ」〈宿木

  1. 何事もないさま。

    1. 「朝露のおくる思ひに比ぶれば—に帰らむ宵はまされり」〈和泉式部日記

[補説]3は「只」の字を「ロ」と「ハ」とに分け、俗に「ろは」という。
[名・形動ナリ]
  1. 曲がっていないこと。また、そのさま。まっすぐ。

    1. 「春霞井の上 (へ) ゆ—に道はあれど」〈・一二五六〉

  1. 隔てるもののないこと。また、そのさま。直接。じか。

    1. 「—に逢 (あ) はば逢ひかつましじ石川に」〈・二二五〉

  1. 時間を置かないこと。また、そのさま。すぐ。

    1. 今宵は—に臥し給へれ」〈落窪・二〉

[副]
  1. まっすぐに。

    1. 「磐城山—越え来ませ磯崎の」〈・三一九五〉

  1. 直接に。じかに。

    1. 「—今日も君には逢はめど人言を繁み逢はずて恋ひ渡るかも」〈・二九二三〉

  1. よく似ているさま。さながら。まるで。

    1. 御髪 (みぐし) のかかりたるさま…—かの対の姫君にたがふ所なし」〈・賢木〉

《「直 (ただ) 」と同語源》

[副]
  1. そのことだけをするさま。それよりほかにないと限定するさま。ひたすら。もっぱら。「—時間ばかりかかる」「—無事だけを祈る」

  1. 数量程度などがごく少ないさま。わずかに。たった。「正解は—の三人だった」「—一度しか休まない」

  1. (「ただ」+動詞の連用形+「に」+動詞の形で)そのことだけが行われるさま。ひたすら。「—泣きに泣く」

[接]前述事柄に対して、条件をつけたりその一部保留したりするときに用いる。ただし。「出かけていい。—、昼までには帰るように」

出典:青空文庫

goo辞書は無料で使える辞書・辞典の検索サービスです。1999年にポータルサイト初の辞書サービスとして提供を開始しました。出版社による信頼性の高い語学辞典(国語辞書、英和辞書、和英辞書、類語辞書、四字熟語、漢字など)と多種多様な専門用語集を配信しています。すべての辞書をまとめて検索する「横断検索」と特定の辞書を検索する「個別検索」が可能です。国語辞書ではニュース記事や青空文庫での言葉の使用例が確認でき、使い方が分からない時に便利です。