《形容詞「と(疾)し」の連用形》
  1. すぐに。急いで。

    1. 「その窓の戸—さしてよ」〈鴎外・文づかひ〉

  1. 時間的にさかのぼった時点で。ずっと以前に。

    1. 「(名刺ヲ)—用意をして居たらしい」〈鏡花婦系図

[名]ずっと以前。とっく。
    1. 「我も—より気の付かざるにはあらねども」〈根無草

  1. 精神修養によってその身に得たすぐれた品性人徳。「—が高い」「—を修める」→徳目

  1. めぐみ。恩恵。神仏などの加護。「—をさずかる」「—を施す」

  1. 得 (とく) 1

  1. 富。財産

    1. 「—いかめしうなどあれば、…家の内もきらきらしく」〈東屋

  1. 生まれつき備わった能力・性質天性

    1. 「鳥といっぱ、高く飛ぶをもってその—とす」〈仮・伊曽保・下〉

[動カ五(四)]
  1. 結んだりしばったりしてあるものをゆるめて分け離す。ほどく。「帯を—・く」「包みを—・く」

  1. 縫い合わせてあるものの糸を抜き取って離す。また、編んであるものをほどく。「着物を—・く」「セーターを—・く」

    1. ㋐もつれたものをもとに戻す。ほぐす。「からまった釣り糸を—・く」

    2. ㋑(「梳く」とも書く)もつれた髪に櫛 (くし) を入れて整える。とかす。すく。「乱れた髪を—・く」

  1. 着ていたもの、身に取り付けたものをはずす。「旅装を—・く」

  1. 命令束縛制約などから解放する。「鎖を—・く」「統制を—・く」「契約を—・く」

  1. 任務・職をやめさせる。免じる。「任を—・く」

  1. 拘束していた態勢を崩してもとの状態に戻す。「警備を—・く」「武装を—・く」

  1. 心のわだかまりや緊張状態をほぐす。ふさがっていた気持ちをすっきりさせる。「怒りを—・く」「疑いを—・く」「誤解を—・く」

  1. 筋道をたどって解答を出す。「問題を—・く」「なぞを—・く」

[可能]とける
[動カ下二]と(解)ける」の文語形。
[用法]とく・[用法]ほどく——「帯を解く(ほどく)」「もつれた糸を解く(ほどく)」「着物を解く(ほどく)」など、ばらばらにする意では相通じて用いられるが、「ほどく」の方が口語的である。◇「問題を解く」「謎を解く」「誤解を解く」「禁止を解く」「武装を解く」「警戒を解く」「緊張を解く」など、結び目、縫い目をばらばらにする意以外の場合は「解く」だけを用いる。◇類似の語に「ほぐす」がある。解けた状態、ほどけた状態にする意で、「からんだ糸をほぐす」のほか、「緊張をほぐす」「肩の凝 (こ) りをほぐす」などと用いる。

《「解く」と同語源》

[動カ五(四)]
  1. 液体に他の固形物や粉末をまぜて、また、分離しているものをまぜて均質液状にする。とかす。「絵の具を—・く」「卵を—・く」

  1. (「鎔く」「熔く」とも書く)固体に熱を加えて、液状にする。

[可能]とける
[動カ下二]と(溶)ける」の文語形。
[動カ五(四)]《「解く」と同語源》
  1. 物事道理筋道をよくわかるように話す。さとす。「人の道を—・く」「仏の教えを—・く」

  1. 物事事情や成り行きを説明する。「開発の必要性を—・く」

  1. 解説する。講義する。「孟子を—・く」

[可能]とける

[名・形動]

  1. (「徳」とも書く)利益を得ること。もうけること。有利であること。また、そのさま。「一文の—にもならない」「—な性分」⇔

  1. 成就すること。成功すること。

    1. 「つつしめるは—の本なり」〈徒然・一八七〉

  1. 仏語。浄土往生し、涅槃 (ねはん) の証果を得ること。

連語《接続助詞「て」に動詞「お(置)く」の付いた「ておく」の音変化》
  1. あらかじめその動作を済ませておく意を表す。「出発前に注意し—・く」

  1. その状態を続ける意を表す。「そのまま寝かし—・く」

[補説]ガ・ナ・バ・マ行の五段動詞に付く場合は「どく」となる。「犬をつないどく」「荷を積んどく」

どく

出典:青空文庫

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