・・・容赦のない現実を生きた痛切な一少女の吐露があります。 ヘルマン・コステルリッツという映画監督も、脚色者ヨアキムソンも、「恋人の日記」では、弁解の余地のない芸術家としての低さを示している。彼らは、「マリア・バシュキルツェフの日記」に目をと・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
・・・経済的に自立する丈の能力を持たず、さりとて、社会的な勤労に従事したこともなかったそれらの婦人達が集まって、文化文学についての情熱を吐露し合ったとしても社会生活における根のなさ、経済的親がかりの事情は、彼女たちの現実の能力を制約した。観念の上・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
・・・ 私は、松本氏がああいうやりかたで自分の真情を吐露されたのは、それで松本氏の気がすみ、生きる力となったのなら、よいではないかと思います。栄子さんもそれを楽しみ、死ぬときも良人としての松本氏の俤を心に抱いて逝かれたとしたら、松本氏はまじり・・・ 宮本百合子 「私も一人の女として」
出典:青空文庫