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辞書
1 五十音図ナ行の第3音。歯茎鼻音の有声子音[n]と母音[u]とから成る音節。[nu]
2 平仮名「ぬ」は「奴」の草体から。片仮名「ヌ」は「奴」の旁 (つくり) から。
ぬま。多く複合語として用いる。「隠 (こも) り—」
「行くへなみ隠 (こも) れる小 (を) —の下思 (したも) ひに我 (あ) れそ物思ふこのころの間」〈万・三〇二二〉
1 《上代東国方言》「の(野)」に同じ。
「千葉の—の児手柏 (このてかしは) の含 (ほほ) まれどあやにかなしみ置きて高来ぬ」〈万・四三八七〉
2 「の」の甲類音を表す万葉仮名とされる「努」「怒」「弩」などを、主に江戸時代の国学者が「ぬ」と訓 (よ) んで、「野 (の) 」の義に解した語。「野火 (ぬび) 」「野辺 (ぬべ) 」など。
玉。赤色の玉。
「—な音 (と) ももゆらに、天 (あめ) の真名井 (まなゐ) に振りすすぎて」〈記・上〉
1 打消しの意を表す。「まかぬ種は生えぬ」「思わず叫ぶ」「勉強をしない生徒がよい成績をとれるはずがありません」
2 (「てはいかん」「てはならぬ(ん)」の形で)禁止の意を表す。「高山植物を採ってはいかん」
3 (「ねばならぬ(ん)」「ねばなるまい」の形で)当然・義務の意を表す。「明日は会社に八時までに行かねばならぬ」
4 (「ずともよい」「ぬともよい」「んでもいい」の形で)許容・許可の意を表す。「君は行かずともよい」「風邪をひいているから風呂はわかさんでもいい」
5 (文末にあって「ん」「ぬ(ん)か」の形で)催促・勧誘・依頼の意を表す。「早く起きんか」「あなたも体操をなさいませんか」
「三谷さんに一服さしあげて下さいません?」〈康成・千羽鶴〉
1 動作・作用が完了または実現したことを表す。…た。…てしまう。…てしまった。
「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらむ」〈古今・夏〉
2 (多く「なむ」「ぬべし」「ぬらむ」の形で)動作・作用の確認または強意を表す。きっと。確かに。
「春ごとに花のさかりはありなめどあひ見む事は命なりけり」〈古今・春下〉
3 (「ぬ…ぬ」の形で)動作・作用の並列または継続を表す。…たり…たり。…したし…した。→たり →つ →り
「備中守浮きぬ沈みぬし給ひけるを」〈平家・九〉
〈奴〉⇒ど
〈怒〉⇒ど
出典:デジタル大辞泉(小学館)
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