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・・・それはそのお月さまの船の尖った右のへさきから、まるで花火のように美しい紫いろのけむりのようなものが、ばりばりばりと噴き出たからです。けむりは見る間にたなびいて、お月さまの下すっかり山の上に目もさめるような紫の雲をつくりました。その雲の上に、・・・
宮沢賢治
「二十六夜」
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・・・「もう一足でおまえたちみんな頭をばりばり食われるとこだった。」「それだっていいじゃあないの。おせっかいのひのき」 もうまっ黒に見えるひなげしどもはみんな怒って云いました。「そうじゃあないて。おまえたちが青いけし坊主のまんまで・・・
宮沢賢治
「ひのきとひなげし」