・・・人々が十数年前、どこか市内の土蔵の地下室にその印刷所があったことを知ったときは、スパイによってその場所があばかれ、当時活動していた重吉たちすべてに、事実とちがう誹謗の告発がされた時であった。ひろ子の文学上の友人で、その頃、印刷所関係の仕事を・・・ 宮本百合子 「風知草」
・・・共産党とプロレタリア文学運動に関係してわたしが人間性を失い同時に文学の能力を殺された、或は失ったということは、わたし一人に対する誹謗としてだけでなく、共産党そのものへの誹謗として言われつづけたものです。そのためにわたしは、過去十二年間、僅に・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・けれども、ここに一人の人があって、真面目に知人と知人との間の親睦を計ろうとするとき、一方の人に、他のものの誹謗をしてきかすだろうか。双方に何か不一致があるときは、具体的にその一致点を研究し、公平に見て、くらべて、一致点を発見して行こうとしな・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・髪をした小学生たちがふと出合って、互いにはにかんでいる絵は、題材の自然さと、描写の活々としたたしかさとで誰の目にも賞牌候補と思われたが、作者のマリアが、金にこまらない貴族の美しい娘であることが、意外の誹謗の原因となった。「ジャンヌ・ダルク」・・・ 宮本百合子 「マリア・バシュキルツェフの日記」
出典:青空文庫