
連歌・連句で、発句・脇・第三・挙句 (あげく) 以外の句。
1
㋐閉じふさがっていたものがあけ広げられる。あいた状態になる。「戸が―・く」「傷口が―・く」
㋑花が咲く。「梅の花が―・く」
㋒物事が始まる。業務が始まる。「店が―・く」
㋓二者の間に差ができる。隔たり・差が大きくなる。「値が―・く」「点数が―・く」
㋔わだかまりがなくなる。「心が―・く」
㋕力のためがなく、姿勢の向きがすぐ変わる。「からだが早く―・くので打球がファウルになりやすい」
㋖《投票箱を開くところから》開票が始まる。
2
㋐閉じふさがっていたものをあけ広げる。「窓を―・く」
㋑(「披く」「展く」とも書く)畳んであるもの、閉じてあるものなどを広げる。「本を―・く」
㋒物事を始める。業務を始める。また、金融機関に口座を設ける。「幕府を―・く」「店を―・く」「口座を―・く」
㋓(「拓く」とも書く)未開拓の場所・土地などに手を入れて利用できるようにする。開拓する。開墾する。「山林を―・く」
㋔あけて道をつくる。道をゆずる。「血路を―・く」「後進に道を―・く」
㋕よい方へ向くように努める。「自分で運を―・く」
㋖隔たり・差を大きくする。「差を―・く」「後続ランナーとの距離を次第に―・く」
㋗わだかまりなどを取り去る。包み隠してあるものをなくす。「胸襟を―・く」
㋘身をかわす。「右に体を―・いて投げを打つ」
㋙(「啓く」とも書く)知識を授ける。啓発する。「蒙 (もう) を―・く」
㋚会などを催す。「展示会を―・く」
㋛数学で、平方根・立方根を求める。また、括弧 (かっこ) 付きの式を括弧のない形に変える。
㋜原稿の、文章中の漢字をかなに書きなおす。「かなに―・く」→閉じる
4 盛んにする。
「楽しみを春の花の前に―・き」〈古活字本平治・中〉
出典:青空文庫
・・・、賢造は大きな洋傘を開くと、さっさと往来へ歩き出した。その姿がち・・・ 芥川竜之介「お律と子等と」
・・・手拭を喰わえてそれを開くと、一寸四方ほどな何か字の書いてある紙片・・・ 有島武郎「カインの末裔」
・・・た、光を放って、腕を開くと胸がまた晃きはじめた。 この光、ただに・・・ 泉鏡花「伊勢之巻」