1. 五十音図ヤ行の第3音。硬口蓋と前舌との間を狭めて発する半母音[j]と母音[u]とから成る音節。[ju]

  1. 平仮名「ゆ」は「由」の草体から。片仮名「ユ」は「由」の末2画の変形によるもの。

[補説]「ゆ」は、また、「きゅ」「しゅ」「ちゅ」などの拗音音節を表すのに、「き」「し」「ち」などの仮名とともに用いられる。現代仮名遣いでは拗音の「ゆ」は、なるべく小書きにすることになっている。

ゆみ。多く、他の語の上に付けて用いる。「—末 (ずえ) 」「—弦 (づる) 」「—弭 (はず) 」

ユズ。また、ユズの実。 秋 花=夏》「一片の葉の真青なる—の実かな/蛇笏

「三輪漬 (みつわづけ) は—の香ゆかしく」〈露伴五重塔

斎 (い) み浄 (きよ) めること。神聖なこと。助詞「つ」を伴って、また直接に名詞の上に付けて用いられる。「—種 (だね) 」「—槻 (つき) 」「—庭 (にわ) 」→斎(ゆ)つ

琴などを弾くとき、余韻を波うたせるために左手の指先を軽く弦に当てて揺すること。また、その奏法や音。

「—の音 (ね) 深う澄ましたり」〈明石

  1. 水を煮えたたせて熱くしたもの。「やかんで—を沸かす」

  1. 入浴するために沸かした水。また、風呂 (ふろ) 。「—に入る」「—に行く」

  1. 温泉。いでゆ。「—の町」

  1. 鋳造に用いる、金属を熱して溶かしたもの。

  1. 船の中にたまった水をいう忌み詞。あか。ふなゆ。

  1. 煎じ薬。薬湯。

    1. 「帝 (みかど) 又—を立てさせて進 (まゐ) らんとし給ひけるが」〈太平記・一二〉

[助動][え|え|ゆ|ゆる|ゆれ|○]《上代語》四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付く。
  1. 受け身の意を表す。…れる。

    1. 「手束杖腰にたがねてか行けば人に厭 (いと) はかく行けば人に憎ま」〈・八〇四〉

  1. 可能の意を表す。…ことができる。

    1. 「日な曇り碓氷 (うすひ) の坂を越えしだに妹 (いも) が恋ひしく忘らぬかも」〈・四四〇七〉

  1. 自発の意を表す。自然に…となる。→らゆ

    1. 「大君の継ぎて見 (め) すらし高円 (たかまと) の野辺見るごとに音 (ね) のみし泣か」〈・四五一〇〉

[補説]「る」に先行する助動詞。2意味で用いられるときは、打消しの語を伴い、不可能の意を表すことが多い。平安時代以降は「る」が使われたが、「聞かゆ」「思はゆ」などは音変化して一語化し、「聞こゆ」「おもほゆ」(さらに転じて「おぼゆ」)の形で用いられた。平安時代以降では、連体詞「あらゆる」「いわゆる」などに連体形「ゆる」の形をとどめている。
[格助]《上代語》名詞に付く。
  1. 動作作用起点を表す。…から。

    1. 「朝に日 (け) に見まく欲りするその玉をいかにせばかも手—離 (か) れずあらむ」〈・四〇三〉

  1. 動作移動・経由する場所を表す。…を通って。

    1. 「川沿ひの岡辺 (をかへ) の道—昨日こそ我が越え来 (こ) しか」〈・一七五一〉

  1. 比較基準を表す。…に比べて。…より。

    1. 「衣手葦毛 (あしげ) の馬のいなく声心あれかも常—異 (け) に鳴く」〈・三三二八〉

  1. 動作手段方法を表す。…によって。…で。→ゆりより

    1. 「小筑波 (をづくは) の繁き木 (こ) の間よ立つ鳥の目—か汝 (な) を見むさ寝ざらなくに」〈・三三九六〉

ゆう

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