・・・僕はその時大に反対した、君止すなら止せ、僕は一人でもやると力味んだ。すると先生やるなら勝手にやり給え、君もも少しすると悟るだろう、要するに理想は空想だ、痴人の夢だ、なんて捨台辞を吐いて直ぐ去って了った。取残された僕は力味んではみたものの内内・・・ 国木田独歩 「牛肉と馬鈴薯」
・・・「イイエ別に何ともお仰らないけエど、江藤さんは最早局を止すのだろうかって。貴姉どうなさるの。」「ソー、夫れで実は私も迷っているのよ」と主人の少女は嘆息をついた。 客の少女は密と室内を見廻した。そして何か思い当ることでも有るらしく・・・ 国木田独歩 「二少女」
・・・つぎに私は、友情と金銭の相互関係について、つぎに私は師弟の挨拶について、つぎに私は兵隊について、いくらでも言えるのであるが、いますぐ牢へいれられるのはやはりいやであるからこの辺で止す。つまり私には良心がないということを言いたいのである。はじ・・・ 太宰治 「もの思う葦」
・・・ 止すさ。引込むだけのことさ。そして、冷めきってからまたやるんだ! それが遊びだ」 ゴーリキイには益々この男が気に入り、彼の話しぶりは、輝やかしい祖母さんの物語を連想させる程である。しかし、どうしてもこの男には気に入らぬところがあった。・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
出典:青空文庫