[助動][ら|り|り|る|れ|れ]《四段・サ変動詞の連用形に「あり」の付いた語、例えば「行きあり」「しあり」の音変化形「行けり」「せり」の「り」から》四段動詞の已然形、サ変動詞の未然形に付く。ただし、
上代では四段動詞には命令形に付く。
[補説]上代から用いられたが、しだいに衰えて「たり」に代わるようになった。「り」の
接続については、平安時代を
中心に、四段動詞の已然形とサ変動詞の未然形に付くと説かれる。それに対して、奈良時代では活用語尾に甲・乙2類のかなの
区別のある四段動詞の
場合、已然形は乙類のかな、命令形は甲類のかなであって、「り」は甲類のかなに
接続していたので命令形に付くとされる。しかし、これは、「り」の前にある甲類のかなは「書きあり(kaki+ari→kakeri)」「しあり(si+ari→seri)」などのようにもともと連用形活用語尾のイ段の音と「あり」の「あ」との音変化によって生じたのであって上接動詞の活用形は便宜的に扱っているにすぎない。また、平安時代以降は甲類・乙類の
区別がなくなり、四段動詞も已然・
命令の両形が
同一の形となったため、
助詞などを下接しうる已然形に
接続するものと説かれたのである。なお、
上代には上一段やカ変の
動詞に
接続した例もある。