・・・ やがて、美味いウドンの昼飯をすませ、山芋掘の鍬をかついだ××君を先頭に家を出た。栗鼠が風の如く杉の梢を、枝から枝へ飛び移って行く。栗の青いイガが草の中へ落ちている×××老人の家で夜まで遊ぼうというわけだ。四・一六の時、×××老人は婆さ・・・ 宮本百合子 「飛行機の下の村」
・・・その物語は、女の小さい時に森の中のくるみのすきなリスからきいたのだそうです。可愛い小さいお話でした。女は詩人の頸を白い手でしっかり巻いてしずかに波うつ胸によせながら何事か頬を赤めながら旅人のかおを見つめて居ます。向うの山の手の一粒に見える所・・・ 宮本百合子 「無題(一)」
・・・ 私がまいりましたコロンビヤ大学の広い校庭などには、リスが沢山居ります。人が飼っているのではなく、野生なんですよ。それが皆な人になついて居ります。 子供などはよくピーナッツの皮をむいてはリスに投げてやります。すると枝にいるリスは・・・ 宮本百合子 「わたくしの大好きなアメリカの少女」
出典:青空文庫