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・・・ 明治三十年代の初頭に、徳富蘆花が「自然と人生」という自然描写のスケッチ文集を出版しているのであるが、これは、こんにちよむと、日露戦争以前の日本文学の中で、自然がどう見られていたかを知ることができ、なかなか興味がある。蘆花は当時としては・・・
宮本百合子
「自然描写における社会性について」
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・・・こんなに本気に、こんなに美しく、悲しみから濾過された平静と希望とをもって生きようとしているのに、「未亡人」――。人生建設を全く予想していないような暗い、じめじめした「未亡人」という名で呼ばれるとは――と。現実は誠実であり虚飾がない。今日の現・・・
宮本百合子
「世界の寡婦」