-
・・・しかし、あの論文の書きかたは技術的に理論のアクロバットであったし、第三者に対しても論点を明瞭に示して、問題を正しく会得させてゆくために必要な客観的叙述にかけていたのは残念でした。文学評論が、論争の当事者にだけわかり、その感情を刺激しあうよう・・・
宮本百合子
「一九四六年の文壇」
-
・・・いまの文学のゆがみそのものを、その一文の中でアクロバット風に表現しているにすぎないことを痛ましいと思う。一人の作家伊藤整がいたましいというような高飛車な感想ではなく、日本よ! こういうもの云いのある一九五〇年の日本よ。小説を書くかかないにか・・・
宮本百合子
「人間性・政治・文学(1)」