・・・またこのコハシあるいはコフジに相当するものと思われる類似の楽器の類似の名前がヨーロッパ、アジア、アフリカ、南洋のところどころに散在しているのが目につく。たとえばリュート類似の弦楽器として概括さるべきものに、トルコのコプズ、ルーマニアのコブサ・・・ 寺田寅彦 「日本楽器の名称」
・・・ 地震の現象でも大小の地震が不断になしくずしに起こっている代わりにたとえば中部アジアなどで起こるような非常に大規模な地震はむしろまれであるように思われる。この事はやはり前記の鉱産に関する所説と本質的に連関をもっているのである。すなわち、・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・ ところが先頃ゴビの沙漠の砂の中から地質時代の大きな爬虫のディノソーラスの卵を発見した米国の学者達は、今度はまた中部アジアの大沙漠へ、地質時代の人間の祖先の骨を捜しに出かける準備をしている。なんでも駱駝を二百匹とか連れて何年がかりとかで・・・ 寺田寅彦 「鑢屑」
一 連句の独自性 日本アジア協会学報第二集第三巻にエー・ネヴィル・ホワイマント氏の「日本語および国民の南洋起原説」という論文が出ている。これはこの表題の示すごとく、日本国語の根源が南洋にある事を論証し、従っ・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
いよいよきたる十二月十日から一週間北京でアジア婦人大会がひらかれます。そして日本からもそこに出席するために代表がえらばれました。これは現代の人類の歴史にとって深い深い意味をもつ新事実です。 世界地図をひらいて、アジアを・・・ 宮本百合子 「新しいアジアのために」
・・・そして、かくされればかくされるほど、それは人々の生活の奥へもぐり、現実によってその理論の真実をたしかめられつつ思想の底にしみいって生きつづけ、こんにちヨーロッパとアジアにはばひろく流れる人民民主主義への源泉となった。 マルクス=エンゲル・・・ 宮本百合子 「生きている古典」
・・・広大な地域をなかばアジアになかば西欧にしめるスラブ人も、イタリーや、フランスがそれを経験したようには経験しなかった。近ごろ、シェクスピアの芸術が、ルネッサンス時代における人間解放の典型としてふたたび評価されている。日本でも、近ごろ「真夏の夜・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・地球の廻転がじかにそのこととして体に感じられないように、いつの間にか日本の現代文学は歴史の扉をひらかれて、アジアと世界の前に価値評価をうけようとしている。 宮本百合子 「五月のことば」
・・・なぜならば、こんにち世界の人民は、ヨーロッパでも、アジアでもまったく共通な一つの切実な課題の前に立たされているのですから。それは、帝国主義の物狂おしい世界制覇の欲望に抗し、世界人民の平和と民族の独立を守らなければならないということです。・・・ 宮本百合子 「国際婦人デーへのメッセージ」
・・・は、地球上もっとも大きい人口をもつ中華人民共和国の誕生によって、日本人民をこめるアジアの未来の運命の方向が決定的に変革された人類史上のできごとである。そういう内容のことがらを、政府の労働者階級抑圧のためのねつ造が大きく作用している下山、三鷹・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
出典:青空文庫