・・・まだ少しあかるいのに、青いアセチレンや、油煙を長く引くカンテラがたくさんともって、その二階には奇麗な絵看板がたくさんかけてあったのだ。その看板のうしろから、さっきからのいい音が起っていたのだ。看板の中には、さっきキスを投げた子が、二疋の馬に・・・ 宮沢賢治 「黄いろのトマト」
・・・魚をとるときのアセチレンランプがたくさんせわしく行ったり来たりして黒い川の水はちらちら小さな波をたてて流れているのが見えるのでした。 下流の方は川はば一ぱい銀河が巨きく写ってまるで水のないそのままのそらのように見えました。 ジョバン・・・ 宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
・・・それから、私は、自分で勝手に顔を洗いました。そして、も一度椅子にこしかけたのです。 その時親方が、「さあもう一分だぞ。電気のあるうちに大事なところは済ましちまえ。それからアセチレンの仕度はいいか。」「すっかり出来ています。」小さ・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
・・・その辺一ぱいにならんだ屋台の青い苹果や葡萄が、アセチレンのあかりできらきら光っていました。 亮二は、アセチレンの火は青くてきれいだけれどもどうも大蛇のような悪い臭がある、などと思いながら、そこを通り抜けました。 向うの神楽殿には、ぼ・・・ 宮沢賢治 「祭の晩」
出典:青空文庫