・・・クリスチアーナという女の愛に失望したマリオ・ルドヴィッチ中尉が従来の生活環境と感情とから脱却するために、アフリカのリビヤへ赴きそこの守備隊に加って土民征服に出かける。この経験から生きる目的を一変させた中尉ルドヴィッチは後を慕って来たクリスチ・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・という題で書いた牝豹とアフリカ守備兵のロマンティックな短篇を、シートンがその筋のまま物語っていることである。コフマンのこの本も猿が人間生活の感情にある理解をもつことは語っているが、アフリカの牝豹が守備兵を恋するというようなことは、科学の見解・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・であるが、アフリカのホッテントットのところでは「非常時」はない。即ち「非常時」的精神に依って文化は支配されていないのである。ホッテントットの文化は、今日のホッテントットが、野牛を殺してその角を取り、それをヨーロッパ人に売って暮しているその生・・・ 宮本百合子 「今日の文化の諸問題」
・・・この船出は、地理上の旅行であるばかりでなく、フランス中産階級の生活の中でも特別な生い立ちをもったジイドにとっては全く幼年時代からの訣別であった。アフリカという未知の地方への出発は、ジイドにとってはとりも直さず未知な生活、未知な自己の個性、未・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・ムッソリーニが、ヒトラーとの黙契によって北アフリカへ侵略を開始する前ごろの作品で、いまこまかなストーリイは思い出せないけれども、当時イタリーの人民生活を圧していた社会不安、生活の不安から、北アフリカへの軍事行動へ「脱出」するという、好戦の映・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・ オセロはアフリカ生れの黒人の武将であった。勇敢な勝利者としてデスデモーナという、美しいヨーロッパの貴婦人を妻にした。ところがオセロの幕下にイヤゴーという奸物がいる。イヤゴーは単純で正直な人々の生活を、自分の奸智でかき乱して、その効果を・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・第二次大戦では、アフリカの住民までも飛行機と爆弾をしらされた。現代の科学力は、それが国際的な軍需生産者の独占資本に使役されるとき、戦争行為におかれた国々の軍事的拠点に、想像できないほど巨大な破壊力を加えるばかりでなく、その周辺の全く無罪な人・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・ まるで、私共が、急にアフリカの真中にでも移住したように、絶えず生命の危険に脅かされ、自分の手一つの力で衣食住の要求を充たして行かなければならない場合、人は怯懦でいられましょうか、他人により縋っていられましょうか。 日本のように温和・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
フロベニウスの『アフリカ文化史』は、非常に優れた書であるとともにまた実におもしろい書である。そのおかげでニグロの生活は我々の追体験し得るものとなり、ニグロの文化は我々の理解し得るものとなる。我々はそれによっていわゆる未開人をいかに見る・・・ 和辻哲郎 「アフリカの文化」
・・・ポルトガルの航海者ヘンリーはすでに乱の始まる七年前に没していたが、しかしアフリカ回航はまだ発展していなかった。だからヨーロッパもまだそんなに先の方に進んで行っていたわけではない。むしろこれから後の一世紀の進歩が目ざましいのである。シャビエル・・・ 和辻哲郎 「埋もれた日本」
出典:青空文庫