・・・cha は英吉利語の ism という意味に当たるでしょう。quemoo の原形 quemal の訳は単に「生きる」というよりも「飯を食ったり、酒を飲んだり、交合「じゃこの国にも教会だの寺院だのはあるわけなのだね?」「常談を言ってはい・・・ 芥川竜之介 「河童」
・・・太宰イズムが、恐ろしい勢で私たちのグルウプにしみ込みました。殆ど喜死しました。さよなら、御返事をお待ちしています。三重県北牟婁郡九鬼港、気仙仁一。追白。私は刺青をもって居ります。先生の小説に出て来る模様と同一の図柄にいたしました。背中一ぱい・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・そういう批評家のために一人の作家が色々互いに矛盾したイズムの代表者となって現われたりするのであろう。 美術上の作品についても同様な場合がしばしば起る。例えば文展や帝展でもそんな事があったような気がする。それにつけて私は、ラスキンが「剽窃・・・ 寺田寅彦 「浅草紙」
・・・このジャングルのなぞが解かれる日までは、われわれはそう軽々しくいろいろなイズムを信用して採用するわけにはゆかないであろうという気がするのである。 寺田寅彦 「映画「マルガ」に現われた動物の闘争」
・・・ 私はこのイズムには始めて出会ったので、早速英辞書をあけて調べていると psittaciというのは鸚鵡の類をさす動物学の学名で、これにイズムがついたのは、「反省的自覚なき心の機械的状態」あるいは「鸚鵡のような心的状態」という意味だとある・・・ 寺田寅彦 「鸚鵡のイズム」
・・・そうなれば現在のいろいろなイズムの名によって呼ばれる盲目なるファナチシズムのあらしは収まってほんとうに科学的なユートピアの真如の月をながめる宵が来るかもしれない。 ソロモンの栄華も一輪の百合の花に及ばないという古い言葉が、今の自分には以・・・ 寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
・・・そうなれば現在の色々なイズムの名によって呼ばれる盲目なるファナチシズムの嵐は収まって本当に科学的なユートピアの真如の月を眺める宵が来るかもしれない。 ソロモンの栄華も一輪の百合の花に及ばないという古い言葉が、今の自分には以前とは少しばか・・・ 寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
・・・何々イズムと名のついたおおかたの単調な思想のメロディーのようにあとへあとへと過ぎ行くのである。 寺田寅彦 「軽井沢」
・・・色々のイズムはどんな大洋を越えてでも自由に渡って来るのである。 市が拡張されて東京は再び三百年前の姿に後戻りをした。東京市何区何町の真中に尾花が戦ぎ百舌が鳴き、狐や狸が散歩する事になったのは愉快である。これで札幌の町の十何条二十何丁の長・・・ 寺田寅彦 「札幌まで」
・・・のあらしのために、わが国の人の心に自然なあらゆるものが根こぎにされて、そのかわりにペンキ塗りの思想や蝋細工のイズムが、新開地の雑貨店や小料理屋のように雑然と無格好に打ち建てられている最中に、それほどとも思われぬ天然の風景がほうぼうで保存せら・・・ 寺田寅彦 「写生紀行」
出典:青空文庫