・・・という文中に、インターナショナルをうたって引揚げて来た人々を見て政府がびっくりしたからといって、すぐその「驚き」の感情を「取締り」に転化させることのあやまりを警告していた。わたしたちの「驚き」は、反人民的な心理戦術に利用されるほど素朴であっ・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
・・・ いそいで服を着て、水道の冷たい水で顔を洗い、冷水摩擦をやっているうちに、ニーナはだんだんうれしい心持になってきて、思わず小声で「インターナショナル」をうたいだした。 今日は三月八日だ! 女の日だ。世界の働く婦人たちが手をつなぎ、プ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
・・・ それに答え、ハンス・マルフヴィッツァとキッシュが、彼等の歓喜を述べ、やがて、音楽が鳴り出した。インターナショナルだ。ドイツからの作家達は、その時拳固を頭のたかさにあげ、革命的前衛の敬礼をしつつ、歌った。ドイツ語で歌った。ソヴェトの連中・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・ それが建設十何年という時になって来ると、いろいろ落付きが出来て来て、そこに研究する問題がいろいろ出来て来たわけで、それでインターナショナルのプロレタリアートの音楽というものと同時に、民族的なロシアの特徴を生かした音楽をも作らなければな・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・この一九一〇年にコペンハーゲンで第二インターナショナルの大会がひらかれた。ドイツ代表としてそこに出席していたクララ・ツェトキンの提案で、三月八日という日を国際婦人デーとすることに決議された。二十三ヵ国から八百九十名の代表が出席したこの大会で・・・ 宮本百合子 「婦人デーとひな祭」
・・・ 資本主義のイデオロギーはそれが必然の過程として植民地搾取を包含する帝国主義イデオロギーである限り、本質的に「インターナショナル」は理解し得ないものなのだ。 三 ところで、ではプロレタリア文学は国際的展・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
・・・ラジオはメーデー歌を放送し、インターナショナルを歌い、新聞は、行進の順路を発表した。メーデー準備は、全勤労者の統一メーデーとして進められているのであった。 五月一日の朝があけてみると、東京は小雨がおちて、風も相当にある。うちでは、一・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
・・・この合理化を非合理化だと叫んでいるのは、英国人の商魂という特殊性を没却した第三インターナショナルの指令のままに誤った戦法を繰返しつつある小数運動者ばかりではないかと。 ――君と私とは心理状態が違う。だからたがいに歩み合って協調しようと云・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
・・・ その時、遠く左手の狭い路の奥でインターナショナルの奏楽が聞えはじめた。 ソラ! デモがきた。わたしはかならず、その音楽に相応して広場に先着しているデモの中からも湧くような歌が起るだろうと思った。ところが、ほんの一節聞えただけで、音・・・ 宮本百合子 「ワルシャワのメーデー」
出典:青空文庫