・・・お互同士が自分たちの事情がどんなに似ているか、全く等しいかということを理解したとき、学生は人生的な社会的な感情で勤労者の生活を自分のものとして感じることができるし、勤労する人々もいわゆるインテリに反撥する心、あるいは逆に買いかぶってインテリ・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・腐ったインテリゲンツィアの女じゃないか?女! インテリ出! それだけでいい加減我慢出来ないところへ、インガは労働者で工場委員長のドミトリー・グレチャニコフを愛している。ルイジョフはそのことから引きつづいて自分を追っぱらって、ドミトリーを工場・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・「一度の状況に対してただ一度の言葉を考えようとするなんて、それはインテリの身だしなみなんで、それは弱いものの負けおしみにしか過ぎません」下士官広瀬は、榕子によって強い精神とされる精神の所有者であり、現実における辻政信その他の人々も、石川・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・右からは古いインテリゲンツィアの残りに、嘲笑された。「ソヴェトになってから、いい芸術的作品なんぞ一つも出来ようはずがありませんよ。第一、今の作家はロシア語そのものの美しささえ知らないじゃないですか!」 不安な、ソヴェト文学の無風状態・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・夏目漱石は日本の優れた一人の作家であるが、ブルジョア・インテリゲンチャの一人であった。――と云う意味に於てどんな作家だって自分の臍の緒は必ずどの階級かに繋がっている。従って自分の臍の緒を繋ぐ階級が文化の宣伝具としてジャーナリズムを統制してゆ・・・ 宮本百合子 「ブルジョア作家のファッショ化に就て」
・・・昔の『新思潮』が作家を送り出した時代の文壇は――つまりインテリ貴族で文壇をつくる根本の気持が芸術至上主義的で、世間の人間――俗人とは俺達は違うぞという気分の上に立っていたと思う。今ではインテリの商品価値がブルジョア経済の上で下落して来た。文・・・ 宮本百合子 「文壇はどうなる」
・・・ 第一に健康で心の明るい婦人をというような共通性のほかに、数年前はインテリ型の婦人が求められていたようですが、今日は家庭的な婦人が求められるようになって来ていると思います、という答えがあって、何となし奥行きのある暗示を感じた。答えている・・・ 宮本百合子 「若い世代の実際性」
出典:青空文庫