・・・ 要するに夏目さんは、感覚の鋭敏な人、駄洒落を決して言わぬ人、談話趣味の高級な人、そして上品なウイットの人なのである。我が文壇にはこの方面で独自の人であった。夏目さんには大勢の門下生もあることだが、しかし皆夏目さんの後を継ぐことはできな・・・ 内田魯庵 「温情の裕かな夏目さん」
・・・――僕はあなたの小説を読んだことはないが、リリシズムと、ウイットと、ユウモアと、エピグラムと、ポオズと、そんなものを除き去ったら、跡になんにも残らぬような駄洒落小説をお書きになっているような気がするのです。僕はあなたに精神を感ぜずに世間を感・・・ 太宰治 「ダス・ゲマイネ」
・・・また、アメリカ聖教会機関紙『ウイットネス』は、MRAの労資協調論を批評して「美くしい宗教言辞のかげでMRAはなぜ世界最大の財団デュ・ポンの恩寵をうけねばならないのか」と急所をついている。 ジェスチュアでない世界平和と民主的社会の建設のた・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・アディソンとスティールの wit よめず。我慢して十二時まで机の前に居る。左の肺尖の音が少し悪いから、鎌倉の養生院に居る知人に話し、見させようという。 自分も見て貰う。異常なし。 夜床につこうとして体を動し、その拍子に又出す。精神感・・・ 宮本百合子 「「伸子」創作メモ(二)」
出典:青空文庫