・・・ロストフはウクライナ共和国の主都で、附近にはソヴェト第一の大国営農場「ギガント」があった。丁度素晴らしい「トラクター」や「コンバイン」をつかって麦の収穫を終ったばかりのところである。ドイツからの労働者見学団の若い男女たちは、その収穫の壮大な・・・ 宮本百合子 「明るい工場」
・・・ 第二次大戦によってポーランドは再びナチスの侵略をうけ、南部ロシアのウクライナ地方とともに、最も惨酷な目にあわされた。しかしポーランド人民は、ウクライナの農民が善戦したとおりに雄々しくたたかって、ナチスをうち破った。単に自分たちの土・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人」
・・・ わたしは、その夏、ウクライナの大国営農場「ギガント」を見学に行った。鉄道の沿線からはじまって、目もはるかな大農場は麦の波だ。そこを、ゆるゆる地平線に向って滑走中の飛行機のようなコンバインが進行している。 古貨車を利用してこしらえた・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ハリコフ市はウクライナ共和国の首府だ。十一月の氷雨がちのモスクワ市よりこの時節にはハリコフ市の方が気候がいいばかりではない。ドンバス炭坑区を近くに持ち、大国営農場、機械工場をもち五ヵ年計画とともにソヴェト同盟の南方地域では屈指の重工業、農業・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 小説の背景は、最もナチスの惨虐にさらされたウクライナ地方である。けれども、この作品は、全ソヴェトの人民がナチス侵略にあって「彼等の一番大事なもの」は何であったかを発見し、その自由と建設の防衛のためにあらゆる「偉大な人間情熱」を展開させ・・・ 宮本百合子 「ゴルバートフ「降伏なき民」」
・・・この作品には自分たちの生命と、ともにある自分たちのソヴェトの生活を護ろうとして、言葉尠く、勇気と、智慧と、あらゆる堅忍とを以て侵略者と闘ったウクライナの男女農民の姿が見事に描きだされている。作者のワンダ・ワシレフスカヤは周知の通り、ポーラン・・・ 宮本百合子 「新世界の富」
・・・つつあるのであるが、現実は皮肉で、今やかつてひとのものであった日本語は植民地大衆の言葉となって、より広汎な日本の勤労大衆の胸にも伝りながら作品ともなってその思いを発露するに至っているという事実である。ウクライナ文学の発展の足どりも思い合わさ・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・国語別 第一年 第四年 都会 村 都会 村ロシア 48.5 39.3 49.6 29.2ウクライナ 49.3 41.8 43.8 18.6白露 49.・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・そのドニェプル発電所の再建からはじまって、スターリングラードの名誉ある復興、ウクライナ全地域、ドン全区にわたる生産復興は、短波できくニュースでもわかるとおり世界をおどろかせる能率で捗っている。 文化の分野でも、戦後における再検討、より高・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・諸国を侵略したナチス軍が、占領地の愛国者たちをどう扱ったかということについては、世界がなまなましい無尽蔵の実証をもっている。ウクライナ一地方での状況を、ガルバートフの「降伏なき民」という小説によって私たちは想像することが出来た。これらの諸国・・・ 宮本百合子 「世界の寡婦」
出典:青空文庫