・・・オベリスクやエッフェル塔が空中でとんぼ返りをしたりする滑稽でも、要領がよいのでくすぐりに落ちずして自然に人のあごを解くようなところがある。「制服の処女」とこの映画とを比べても実によくドイツ人の映画とフランス人の映画との対照がわかるような・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(2[#「2」はローマ数字、1-13-22])」
・・・ヴェランダの彼方の祭の夜空にエッフェル塔のシトロエンの広告が、この高さでまた新しく甦って来る音楽やどよめきの上に、6シリンダア6シリンダアと機械的な明滅をつづけていた。〔一九三九年九月〕・・・ 宮本百合子 「十四日祭の夜」
・・・ 書簡の一註。エッフェル塔のエハガキ。一九二九年の初秋には、このエッフェル塔にシトロエン6というイルミネーション広告が終夜明滅していた。父、母、妹たちはヴルール・ペレールのアパートメントに住み、百合子はヴォジラールの下・・・ 宮本百合子 「中條精一郎の「家信抄」まえがきおよび註」
出典:青空文庫