・・・坪内君は明治の文学の大いなるエポック・メーカーである。 内田魯庵 「明治の文学の開拓者」
・・・伊井公侯の欧化策は文明の皮殻の模倣であったが、人心を新たにし元気を横溢せしめて新らしい文明のエポックを作った。頓挫しても新らしい文化の種子を播いたのは争えない。当時の公侯の文化主義は終に曾我の家式滑稽として終ったが、シカモこの喜劇は極めて尊・・・ 内田魯庵 「四十年前」
・・・ルノアル自身のエポックを劃したとも言われているんです。僕だって、もう二十八歳ですからね、ひとつ、ルノアルと戦ってみようと思っているんですよ。いまね、モデルが仕度していますから、ああ、出来た、わあ、これあひどい。」 モデルは、アトリエのド・・・ 太宰治 「リイズ」
・・・京漢鉄道総工会の成立大会を武力解散させた軍閥呉佩孚に対して中国労働者がジェネストを起し、英国の労働運動に一つのエポックをつくった。今日三百万の党員をもち中国人口の三五パーセントを解放地区に包括しつつある中共は、一九二三年に第三次党大会をもち・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・そして社会がもっているこの封建の暗さのために、日本の文学上の重大なエポックであった自然主義もヒューマニズムもデカダニズムさえも、日本的な変種としてあらわれた。日本的な変種の現象は、自然主義の社会観を社会文学の思想と実践に発展させなかった。家・・・ 宮本百合子 「自我の足かせ」
出典:青空文庫