・・・祭の日にはせいぜいキノか芝居へでも出かける。昔のドミトリーの生活のそれが最大限度であった。家庭がドミトリーの慰安所であった。 ところが、革命が起った。ドミトリーの生涯は新しく、闘争と餓えとの間から萌え出した。プロレタリアート全戦列の前進・・・ 宮本百合子 「「インガ」」
・・・その門から処女製作のソヴェト・フォード第一号が、歓呼の声に送られて動き出した時の光景は、ソヴキノの映画ニュースをとおして、モスクワの労働者の胸にまでつよく刻みこまれている。 ニージュニに新しくソヴェト・フォード製作工場が出来たという事実・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・芝居とか、キノとか、音楽とか、一家揃ってそこへ行って、暖い、明るい、楽しい年越しするわけさ。 ――ねえ、オイ! ソヴェトの労働者っていうと、その話だけでも、どうも偉くがっしりしてやがるみたいだが、そいでもいつかヘベレケになることもあるの・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・ソヴェト同盟は、世界のプロレタリアート文化の第一線に立って、さらに新しい自分ら独特の劇を、音楽を、キノを製作し、各劇場は、常に座席の一定数だけ、職業組合を通じて、半額以下で一般勤労者に分けている。 芸術は、階級の武器の一つである。プロレ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・ ――芝居の方はどうなんだ? キノと同じかい? ――人民文化委員会の芸術部が、その年の予算の中から、劇場のためにはいくら金を使うかという予算をたてる。各劇場にその予算がわりあてられる。それでやって行くんだ。――余談だが、ソヴェトでは、全・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・に於ける映写は、非常に安い料金で、ソユーズ・キノの移動隊が「クラブ」の為めに特別に作った映画を見せてくれる。みんなは、その映画をどしどし批判してソユーズ・キノの活動を活溌にしている。「労働者クラブ」の一ばん大きいのは鉄道従業員のクラブで、印・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの「労働者クラブ」」
・・・赤軍映画隊は、弁髪長い中国の農村プロレタリアートに、最初の文化の光、キノを見せた。医薬の補助を与えた。中国の農村プロレタリアートは次第に赤軍を愛し、彼等が村を去るときはプラカートを立て、赤軍万歳! また来て下さい、と書いてデモで停留場まで送・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・ だけれども、ソヴェトでは演劇も、キノも、音楽も皆本当に民衆のもので、民衆の喜びのために、民衆の文化の向上のために、民衆自身が自分達の感情をそとへ表現するために、芸術教育も、それから職業的な芸術団体もあるわけである。 ソヴェト・ロシ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・そこで製作されるソヴェト・フォードは、小さい赤旗をヘッド・ライトの上にひるがえしつつソユーズキノ週報で先ず映画館の映写幕の上にころがり、つづいてモスクワの新造アスファルト道をもころがりはじめた。一九二九―三〇年に、モスクワの自動車の数は足り・・・ 宮本百合子 「モスクワの辻馬車」
出典:青空文庫