・・・この場合は明らかに墨のコロイド粒子群が内から外へ進行する際にその進行速度にはなはだしい異同ができ、その異同が助長されるのであろうが、この事実の形式的類推から放電陽像の場合にも、何物か粗粒的なものが内から外のほうへ広がるのではないかという想像・・・ 寺田寅彦 「自然界の縞模様」
・・・ 炭は炭でもそのコロイド的内部構造の相違によって物理的化学的作用には著しい差がある場合もあるから、蛇の黒焼きとたぬきの黒焼きで人体に対する効果がなにがしか違わないとは限らない。またわずかな含有灰分の相違が炭の効果に著しい差を生ずることも・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
・・・に関する統計などには、純粋な物質的の問題たとえばコロイド粒子の密度の場合に応用さるる公式を、そのまま使用しても立派に当てはまることが実証的に明らかになっている。平田理学士は、先年、某停車場の切符売り場の窓口に立ち寄る人の数に関する統計的調査・・・ 寺田寅彦 「物質群として見た動物群」
出典:青空文庫