・・・ただし従来いわゆる日本画の教養を受けた人は出品の資格がないという事にして――これはコントロールがむつかしいかもしれないが――そうして新しい日本画を募集してみたらどうであろう。その結果はおそらく沈滞した日本画界に画時代的の影響を及ぼすようなも・・・ 寺田寅彦 「昭和二年の二科会と美術院」
・・・ 長篇のわずか半ばで加えられたこのように横溢的な評言から、最も有効に自己をコントロールし終らせることは、創作についてなみなみならぬ鍛錬を重ねた作家にして初めてなし得るところであろう。 社会主義的リアリズムの立場に立って性格、心理を描・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・ 私は、彼のセルフコントロールに、絶対の信頼と尊敬とを持って居る。 彼は私を父親のように愛し、守り、助けてくれる、其でいいのだ、そう人を私は待って居たのではないか? 其だのに、何故、私は今、此の涙ぐましい心持に深く深くひたって行・・・ 宮本百合子 「樹蔭雑記」
・・・問題を、こんにち、別の云いかたで表現すれば人類はたった二十世紀で、自身の発見した原子力によって壊滅してしまわなければならないものなのか、それとも、より発展した多数者の理性の協力で、原子力を支配する力をコントロールして、もっと高次の、幸福のあ・・・ 宮本百合子 「私の信条」
出典:青空文庫