・・・ああいう映画監督の俸給どの位だろう……いくぶんゴシップ趣味だが…… ――待ってくれ、虎の子を出して見るから、こりゃ多い。七百五十ルーブリだそうだ。映画俳優のところも見て御覧、ついでに。主役で三百ルーブリから六百ルーブリだ。一寸エピソード・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・この本は政界裏のぞき的なサロンゴシップで真にフランスの悲劇と人民の反ファシズム闘争を反映したものではなかった。一九四五年一月三十日東京に本式の空襲がはじまった。それから〔五〕月まで私の住んでいた本郷区の各所が連続的に破壊・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・茂索氏とふさ夫人とが題材としては小さい一つの題材を二人両様に扱って書いたところ、その扱いかたの腕では、茂索氏が勝ったとか、ふさ夫人がまけたとか、単に二人をかけ合わすのが面白いというような対比のしかたでゴシップにのぼったことがあった。 私・・・ 宮本百合子 「夫婦が作家である場合」
・・・狭い文壇的気流の匂いだの、ゴシップだの、競争だの、いりくんだ利害関係だのから、作家同士或は作家、編輯者との間からは、世が世智辛くなるにつれ、率直さや朗らかさや、呵々大笑的気分は消失して来ているであろう。その内輪で、どちらかと云えば神経質な交・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・大へん特別で、口を一つきくのでも智慧を廻して云うようだし、盛に神経の磨きっこをするし、外からゴシップを読んだだけで、一寸閉口なくらいだった。時代やまた仕事をしている時間から云えば、当然自分なんかはいわゆる文壇的な存在なのだけれども実質的には・・・ 宮本百合子 「文壇はどうなる」
出典:青空文庫