・・・ 北原さんの螢の指輪や、その指輪を誰かが詩人のシンボルに作って居るというようなことが*然と、しかし無限のなつかしさをもって心に湧いて来た。 宮本百合子 「樹蔭雑記」
・・・でも金時計を書いていますね、金時計が一つのシンボルになった時代があります。――けれど私は陋屋の中で小説を書いている。女はつまらない、男は愚か者でも世の中を渡って行くのに、と一葉は或る自己批評をして、こんな苦しい生活を止めてしまおうかと思った・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
・・・昔あすこんとこをあの河が流れていたんですなんて、長い土手の田畝の中におき忘られたように続いているのが、あれはつまり亡びた法律、亡びた道徳のシンボルよ」 河の流れは夥しい水の圧力となって流れているのではあるが、河にはいつもその堤をかみ、堤・・・ 宮本百合子 「山本有三氏の境地」
・・・に現われた時には、ヒュネカアの語を藉れば She attracted a small band of admirable lunatics who saw her uncritically as a symbol rather than a・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫