・・・「うるさいッ……あんな奴らはストライキで飯を食って歩いてる無頼漢だ、何が出来るものか……うるさいから階下へ行ってろ、階下へ行けッてば……」 お初は、仕様ことなく、赤ん坊を抱いて立上ったが、不安は依然として去らない。「あたしはおろ・・・ 徳永直 「眼」
・・・ ――滅茶苦茶に手前等は儲けやがって、俺たちを搾りやがるから、いずれストライキだよ。吠え面かくな――と彼は心の中で思った。「おかしいじゃないか、おい」 一運は、チャートルームにいる、相番のコーターマスターを呼んだ。「オーイ」・・・ 葉山嘉樹 「労働者の居ない船」
・・・警察でとりしまりたいとおもってとりしまれなかったどんなストライキがあったろう。文化的な仕事しかしていない東宝という映画製作所の闘争で、数千の武装警官と機銃をのせた甲虫が登場した光景は、フィルムにもおさめられた。言論の自由が民主的発言にたいし・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・つまり、ファシズムに抗議するストライキ、ファシズムに抗議するデモンストレーション、ファシズムに抗議する声明書、それらの集団的な抵抗の裏づけとして本当に一人一人が、自分の生活態度の全面でどんな抗議を行っているか、それを明瞭に意識において見なけ・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ニューヨークの反戦デモに参加するばかりか、中野は三十年間転々としてアメリカであらゆる労役に従事していた間に、鉱山の大ストライキにプロレタリアとして夜も眠らず働いたことがある。なおかつ現在では自分の周囲におけるアメリカの子供の中からピオニイル・・・ 宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
・・・デモとかストライキをする。しかし権力はそういうことを禁じる。そういう要求によって、いろいろな行動をしたり発言したりする人を引張るし、その人たちを裁判する。もしこの浦和充子の裁判に当った判事、検事が御自身そのような場合に直面された場合に、大衆・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・リオンの絹織工が大規模のストライキを行ったのにつづいて、ブランキーの反抗があり、急速に発展した資本主義の矛盾に対して勤労階級の反抗が沸き立っていた。パリには、八万五千人ものドイツ亡命者がいた。当時のドイツの野蛮な圧迫が、人間らしく社会の幸福・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・は、ある労働者街の無産者托児所の生活を中心として、東交の職場が各車庫別のストライキに立っていたころの動揺、地区のオルグとして働いている人物の検挙につれて、その余波が托児所にまでひろがって来る前後のいきさつを題材としている。テーマは、革命的な・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・地下鉄ではついこの三月二十日から三日間従業員約百名内出札の婦人四〇名が参加して地下の引込線を利用して車輌四台を占領し、全国的注意を喚起したストライキをやった。原因は出征従業員を会社側で欠勤扱いにしたことであった。「触ルト死ぬゾ」と大書した紙・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・女工さんの自主的なストライキが勇敢に闘われるばかりではない。今や、プロレタリアート・農民の婦人は出産の床の中に、八百屋で買う一本の葱の中にまで、自身の熱い階級闘争を感じずにはいられぬ情勢に来ているのだ。 だが、プロレタリア作家たちは、プ・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
出典:青空文庫