・・・中庸とは英吉利語の good sense である。わたしの信ずるところによれば、グッドセンスを待たない限り、如何なる幸福も得ることは出来ない。もしそれでも得られるとすれば、炎天に炭火を擁したり、大寒に団扇を揮ったりする痩せ我慢の幸福ばかりで・・・ 芥川竜之介 「侏儒の言葉」
・・・わたしの信ずるところによれば、グッドセンスを待たない限り、如何なる幸福も得ることは出来ない。もしそれでも得られるとすれば、炎天に炭火を擁したり、大寒に団扇を揮ったりする痩せ我慢の幸福ばかりである。 小児 軍人は小児に近い・・・ 芥川竜之介 「侏儒の言葉」
・・・美のセンスと善のセンスとがともに強く、深く、濃まやかであることが第一流の人間としての欠くべからざる教養である。 自分如きも文芸家となったけれども、学窓にあったときには最も深い倫理学者になることを理想とし、当時倫理学が知識青年からかえり見・・・ 倉田百三 「学生と教養」
・・・実につまらない、不思議なくらいに下手くそな、まるっきりセンスの無い冗談を言い、そうしてご本人が最も面白そうに笑い、主人もお附き合いに笑い、「トカナントカイッチャテネ、ソレデスカラネエ、ポオットシチャテネエ、リンゴ可愛イヤ、気持ガワカルトヤッ・・・ 太宰治 「メリイクリスマス」
多少のアブセンス・オブ・マインドというのは、誰にもあることである。あるのが普通といってよかろう。しかし私は可なり念入のアブセンス・オブ・マインドをやったことがある。今に思出しても、自分で可笑しくなるのである。 それは私・・・ 西田幾多郎 「アブセンス・オブ・マインド」
・・・それは「センス」sense でもない、「ジン」 Sinnでもない。マールブランシュはいうまでもなく、デカルトにすらそれがあると思われる。しかし私はフランス哲学独得な内感的哲学の基礎はパスカルによって置かれたかに思う。その「心によっての知」 ・・・ 西田幾多郎 「フランス哲学についての感想」
・・・それは「センス」sense でもない、「ジン」 Sinnでもない。マールブランシュはいうまでもなく、デカルトにすらそれがあると思われる。しかし私はフランス哲学独得な内感的哲学の基礎はパスカルによって置かれたかに思う。その「心によっての知」 ・・・ 西田幾多郎 「フランス哲学についての感想」
・・・そのような殺しても殺しても生きる命としての抵抗力、強い生活感覚、それこそが、きょうの歴史を生き進んでいるわたしたちの人民的センスであり、抵抗の源泉であると思います。生活と闘いの達人となってゆこうと努力しているわたしたちにとって、理論と行動、・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・ 服装について、センスということがよくいわれる。服装についてセンスというのは、ただ単純に配色、アクセントなどについてだけ語られるものだろうか。そうは思えない。やつれた体に粉飾してアクセントをつけたとして、それがよいセンスだろうか。美しさ・・・ 宮本百合子 「衣服と婦人の生活」
・・・常に一種のグッド・センスをもって、現実の自身の家庭生活に処しておられる。これも、婦人作家の生きかたとして注目されるべき点です。 この間、瀧井孝作氏が「黒い行列」の印象を読売紙上で書いた時、或る人があなたは日本の婦人作家中最もインテレ・・・ 宮本百合子 「含蓄ある歳月」
出典:青空文庫