・・・若い女のひとの興味趣味などに沿うて、雑誌の編輯員の中には、今日一人や二人きっとこういう種類の若い女の技術志願兵、実は女の労働力・才能・教養を社会的にダンピングしている人がいるのです。 それらの若い女の人たちはもちろん微塵の悪意もないので・・・ 宮本百合子 「現実の道」
・・・きっとこれはアメリカの大レヴューの舞台が裸娘のダンピングをする真似だろう。 一七七六年以来の第一国立オペラ舞踊劇場だ。今更「青襯衣」劇団やメイエルホリドの真似でもない。独特の訓練と技術とが活かされなければならない。 しかし、この「蹴・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・資本主義的な労働力ダンピングである自由契約なんてことはどこを見ても無い。 賃銀の新条件についての事実はこうだ。元の賃銀率システムには、熟練工と不熟練工、過労な労働と軽い労働との間の差が具体的に区別出来ない欠点があった。所謂平均主義者に向・・・ 宮本百合子 「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」
・・・このことは、文芸家協会の納金低下にも現れ、修飾のない実際問題として一部の作家のダンピング的執筆を惹き起している。新進作家の経済的困難は誰でも大っぴらに語る状態である。荒木巍氏が、最近出版された小説集の印税代りに、出版書肆からスキー道具一式を・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
・・・内職は賃銀のダンピングであるにかかわらず、子もちの母は、正当な働き場所を見つけにくい。 外国の諸国にも、売春婦はどっさりいる。しかし、私たち日本の女は、夫の戦死されたあと、ママという通称をもった街の女がいて、三人の子供をどこかにのこした・・・ 宮本百合子 「離婚について」
出典:青空文庫