・・・あなたは、遊びのチャンピオンなんでしょう?」「お酒は、プレイのうちにはいりませんわ。」 と小生意気な事を言った。 私はいよいよ興覚めて、「それじゃ何がいいんですか? 接吻ですか?」 色婆め! こっちは、子わかれの場まで演・・・ 太宰治 「父」
・・・ こういう悲惨で滑稽な現象のチャンピオンとして、某婦人雑誌が、トルーマン当選の公表された翌日の新聞に、「デューイ夫妻会見記」という特別記事入りの十二月号の広告を出した。ここにも奇蹟的という文字がつかってあった。この雑誌の特派記者が、アメ・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・ カールと『独仏年誌』を中心としてその家に集る亡命者の中には、卓抜な諸部門のチャンピオンたちにまじって、当時四十八歳だった詩人ハイネがいた。カール・マルクスより二十一歳も年長であったハイネとカールとの間には、真実な友情がむすばれていた。・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・徳川時代の文学作品のあるものは、一種の町人文学として当時の官学流の硬い文学、経綸文学に対立し、庶民の日暮しの胸算用、常識を鋭く見て、例えば西鶴等はその方面の卓抜なチャンピオンであった。しかし、日本文学全体の歴史を通じて庶民の文学であるという・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・これらの、ロシア的情熱に燃え、つよい意志をもった新時代のチャンピオンたちは、本当にどんな感想で、あまり単純でロマンティックなエレーナを、或は何か非現実的で丸彫りでないマリアンナを、自分たちの激しい前進的な生活とひきくらべつつ読んだであろうか・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・という文句を、今日或る意味での世界的チャンピオンであるトロツキーがつかっているように主観的に使用し「素朴な実証的な研究」即ちそれを通じてのみ、古典美への信仰に入ることが出来、「科学的認識は芸術的享楽の中枢に参画する」ことが出来るとしていると・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・日大は、古橋さんというポスターのおかげで、大分便宜を得ているのだし、同窓生たちにとっては、われらの青春のチャンピオンであるわけだから、みんなが協力して、せめて消耗にふさわしい食事ぐらい何とか工夫はできないものかしら、というわたしの言葉に、古・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
・・・太郎冠者はそのチャンピオンとして登場しているのであった。 戦国時代にこうして一旦崩れ分散した支配権力は、信長によって、或る程度まとめられた。織田信長は当時の群雄たちの中では、誰よりも早く新らしい戦術を輸入した。種子島へ来た鉄砲をどっさり・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫