・・・ このからくりに采配をふるったのは、ツァーの有名な警視総監である大官ポベドノスツェフであった。そして、この奸策を白日のもとに明かにしたのは、もちろんポベドノスツェフではなく、足をすくわれた後、立ち上ったロシアのマルキシストたちであった。・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・ ソヴェト同盟の婦人作家 十月革命まで、ロシアは世界で最も文盲率の高い国とされていた。 ツァーの支配者たち、貴族と資本家の多くの者はロシアの人民が物の道理をはっきり知って、搾取に反抗するのを嫌った。帝政ロシア時・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・旧い野蛮なツァーのロシアで、民衆は才能も生活力もはけ口を封じられていて、わけの分らない残忍さ、ひどい破廉恥と乱行。さもなければ生きながら腐ってゆくような倦怠、怠惰、憂鬱とけちくささが、ゴーリキイの人生をとりまいていました。その中から、ゴーリ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイについて」
・・・* ソヴェト同盟は当時、すべての学校に先ず労働者の子供らを入れ、農民の子供を入れ、勤め人の子を収容した。ツァー時代のブルジョア・地主の子等は学校に入れなかった。そのことについて「真理の擁護者マクシム・ゴーリキイ」に対する「哀れなる少年の・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・彼はこの間にいやという程ツァー時代のロシア官吏、司祭等の腐敗した生活ぶりの証人となった。 ニージュニへ再び戻ってからは或る弁護士の書記の口を見つけた。二年の間ゴーリキイは書記をする傍ら同じ市の急進的なグループとつき合っていたが、その時代・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
・・・その三人の主人というのは「天の神、神の子であるツァー、ツァーの子であるお前らの主人、雇主など三人である」と説きつけられ、屈従を強いられていた。 働く婦人は一層ひどかった。坊主は女に向って十字架をふりかざし、恐ろしい目つきをして命令した。・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
出典:青空文庫