・・・ にょきにょきと屋根が尖った、ブラゴウエシチェンスクの市街は、三時半にもう、デモンストレーションのような電灯の光芒に包まれていた。 郊外には闇が迫ってきた。 厚さ三尺ないし八尺、黒竜江の氷は、なおその上に厚さを加えようとして、ワ・・・ 黒島伝治 「国境」
・・・しかも最も簡単なるデモンストレーション的実験においてすら、用意の周到ならざるため、条件のただ一つを看過すれば実験の結果は全く予期に反する事あるは吾人の往々経験する所なり。これらの失敗に際して実験者当人は、必要条件を具備すれば、結果は予期に合・・・ 寺田寅彦 「自然現象の予報」
・・・まずその物理的機構について説明された後に、デモンストレーションのために「君が代」を一ぺんひいて聞かされた。田舎者の自分は、その時生まれて始めてヴァイオリンという楽器を実見し、始めて、その特殊な音色を聞いたのであった。これは物理教室所蔵の教授・・・ 寺田寅彦 「田丸先生の追憶」
・・・つまり、ファシズムに抗議するストライキ、ファシズムに抗議するデモンストレーション、ファシズムに抗議する声明書、それらの集団的な抵抗の裏づけとして本当に一人一人が、自分の生活態度の全面でどんな抗議を行っているか、それを明瞭に意識において見なけ・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・印象批評と放談のうちに、ジャーナリズムと読者とに対するある種のデモンストレーションが行われ、批評は個々人の印象批評にとどまった。よかれ、あしかれ、日本の民主主義文学の運動にふれたり、それをまともに論議したりすることは、語り手自身のファッショ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ ダットサンが、若い女のひとをつかってデモンストレーションしたことがあった。今でもつづけて行われているかどうか知らないけれども、それはやっぱり女の仕事として爽快なものとは云われない感じがあった。ダットサンぐらいは女でも自由に動かして然る・・・ 宮本百合子 「この初冬」
・・・例えばメーデーの時、革命記念祭のデモンストレーションの時には、各工場は自分の工場の音楽隊を先に立てて行進して来る。 専門的な音楽の発達のためには、ソヴェトは音楽学校の非常に程度の高いものをもっている。そこでシーズンが来ると、外国から来る・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・展覧会でうんとデモンストレーションをやるのもよい。同時に第二回プロ美術展から第三回が開かれるまでの一年間、われ等のプロレタリア美術家は毎日の争闘を芸術活動においてどう行って来たか、例えば戦旗、ナップ、その他に掲載された時事、政治漫画を、時間・・・ 宮本百合子 「プロレタリア美術展を観る」
・・・で、出口も分らず渦まいている民衆の力は、段々まとまって、一九〇五年、民衆の大デモンストレーションがおこり、そのとき活躍したゴーリキイは死刑になるところでした。彼が死刑にならなかったのは、ロシアばかりかヨーロッパ各地で、ゴーリキイ死刑反対の運・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイについて」
・・・この時ゴーリキイが死刑を免がれたのは、ゴーリキイ処刑反対の大デモンストレーションがロシア国内のみか、ヨーロッパ諸外国で行われたからであった。 翌年、解放運動の資金を得るために、ゴーリキイはアメリカへ講演旅行をやった。この計画は本国からの・・・ 宮本百合子 「逝けるマクシム・ゴーリキイ」
出典:青空文庫