-
・・・私はまた体を一つのハンマーの如くにして、隣房との境の板壁に打つかった。私は死にたくなかったのだ。死ぬのなら、重たい屋根に押しつぶされる前に、扉と討死しようと考えた。 私は怒号した。ハンマーの如く打つかった。両足を揃えて、板壁を蹴った。私・・・
葉山嘉樹
「牢獄の半日」
-
・・・黒い長衣着て黒長靴と云ういでたちの富農、それら三つの頭の上に、どえらいハンマーを握った労働者の手と、カマを持った農民の手とが、こしらえてある。 勇ましい行進曲につれて、その張り物をかついだコムソモールが歩きながら、ヒョイ、ヒョイと糸を引・・・
宮本百合子
「インターナショナルとともに」