・・・茲で小生は博文館の頌徳表を書くのでないから、一々繰返して讃美する必要は無いが、博文館が日本の雑誌界に大飛躍を試みて、従来半ば道楽仕事であった雑誌をビジネスとして立派に確立するを得せしめ、且雑誌の編纂及び寄書に対する報酬をも厚うして、夫までは・・・ 内田魯庵 「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」
・・・その時の車掌は事柄を全くビジネスとして取扱ったからまだよかったが、隣に坐っていた人が妙にニヤニヤしていたという事である。 この場合も全然乗客の方の不注意であって車掌に対しては一言の云い分もない。 電気局から鋏穴の検査を励行するように・・・ 寺田寅彦 「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・それが夫婦でもなくもちろん情人でもなく、きわめて平凡なるビジネスだけの関係らしく見えていて、そうしてそれがアメリカの魚屋さんとアメリカの八百屋さんのように見えるのが不思議である。 二人ともにあるいは昔からの活動写真、近ごろの発声映画のフ・・・ 寺田寅彦 「LIBER STUDIORUM」
・・・家の人々が、いつしか社会の推移につれて教会の神のほかの神々である金力のほか有名人という気まぐれな神にも支配され奉仕するようになって来ていること、しかもそこにアメリカ的実務性にしたがって有名人製造というビジネスの存在する有様を、バックは描き出・・・ 宮本百合子 「文学の大陸的性格について」
・・・炭坑主が一頓について一ペンスだけ出して独立な大きいビジネスをやってるんだ。」 しかし、その同じ着実な商魂が考え出した英国炭坑における合理化と云うことは、二年前に比べると十六パーセント減の労働人員によって前年より千三百万頓増大した採掘量を・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫