・・・それはとにかく日本が大陸にきわめて接近していながら、しかも若干の海峡で大陸と切り離されているという特殊の地理的条件のために日本のファウナがどういう影響を受けているかということは上記の雑多な事実からも了解されるであろう。 昔は鹿や猿がずい・・・ 寺田寅彦 「日本人の自然観」
・・・ その音をきいて居ると、急に、自分のピアノのFaのシャープの出ないのが気になり出す。 雨がつづいて居る時分からああなり出したので、天気がなおるとよくなるまいものでもないと放って置いたけれ共、一向によくならない。 今日はどうしても・・・ 宮本百合子 「一日」
・・・ ――○――○レークジョージ ○メゾン ファシール、 ○チョプスイ。○アムステルダム ○岩本さんのところ。○バン コートランド。 ○オペラ。 ○芝居。 ○西村さんのところ。 〔欄外に〕插話。 講演会。・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・百鬼園はあなたにファブルより面白くないことは私の経験からもわかって居りました。しかし、私はあなたに面白くないものでも時には読んでいただきますから、どうぞあしからず。そして、あなたは面白かったものについてのみおかきになったのでは、何か不足して・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ ファブルの名を知ったのは、多分これがきっかけであったと思う。それから、ファブルの昆虫記をすこし読んだが、これは何冊も読みつづけることが出来なかった。どういうことが読みつづけられない原因か考えていなかったのであるが、昨年本ばかり読んで暮・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・ 十五位のときよんだモウパッサンの小説の中で、若い女主人公が草原にねころんでファブルの蟻の生活を観察した文章を読んで貰って聴いているところがあった。私がファブルの名を知ったのはそれがはじめてで、大正のはじめのその頃は恐らく訳も完成されて・・・ 宮本百合子 「私の科学知識」
出典:青空文庫