・・・目下のところ五十代はかわらず、四十代は迷い、三十代は無気力、二十代はブランク。四十代はやがて迷いの中から決然として来るだろうし、二十代はブランクの中から逞しい虚無よりの創造をやるだろうか、三十代はどうであろうか。三十代は自分の胸に窓をあける・・・ 織田作之助 「文学的饒舌」
・・・ あとは、ブランク。 こうして書き写していると、さすがに、おのずから溜息が出て来る。可憐なお便りである。もっともっと、頑張らなければなりません、という言葉が、三田君ご自身に就いて言っているのであろうが、また、私の事を言っているように・・・ 太宰治 「散華」
・・・私にはブランクの時がはさまっているから、早さも特別に感じられます。 二十九日附のお手紙、三十一日午後頂きました。 今頃はもう後の手紙も御覧でしょう。 夏蒲団は昨日どてらを届けた時持ち帰りました。毛布、下ばきも届きました。毛布はも・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・あの文章は、二人の真中に一つのブランクをおいたままその周囲を廻っている感じであった。ブランクというのは「収穫以前」で作者森山氏は主題の更に重厚な展開のために、主人公のような社会層のインテリゲンツィアと家族関係との奥に潜められている心理的因子・・・ 宮本百合子 「数言の補足」
・・・ それから、ブランクになって居る対話の部、あすこもやめたいと思います。何だか女学世界のようで私の好みに反しますから。 点とりは、生憎非常に多忙なので、ゆっくりあれで遊んで居られません。勝手ですがあのまま御返し申します。二つの大きな消・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・東京、大阪が最も密度濃いのは当然として、百世帯加入数辛うじて六以下という、ブランクによって示されている地方は、日本に於て、東北では青森、岩手の二県と、九州の突端の二つの県宮崎、鹿児島、琉球等のみである。 工業部門の職業でのラジオ加入は、・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
出典:青空文庫