・・・またボストンのウェレスレー学校、フィラデルフィアのブリンモアー学校というようなものがございます。けれどもマウント・ホリヨーク・セミナリーという女学校は非常な勢力をもって非常な事業を世界になした女学校であります。何故だといいますと、それが世界・・・ 内村鑑三 「後世への最大遺物」
・・・ アメリカでもプロフェッサー達はみんな品のいい、そうしてヨーロッパの国々の多くのプロフェッサーよりもさっぱりした感じの人が多かったが、これらの先生達は誰もチューインガムを噛んではいなかった。 ボストンで、とあるチョプスイ屋へはいって・・・ 寺田寅彦 「チューインガム」
・・・ 彼は、印度人で、幼少の時から英国で教育され、今はボストン博物館で、東洋美術部の部長か何かをしながら、印度芸術の唯一の紹介者として世界的な人物になっているのである。 面長な、やや寥しい表情を湛えた彼が、二階の隅の、屋根の草ほか見えな・・・ 宮本百合子 「思い出すこと」
・・・ アメリカは勿論のこと、イギリスでもフランスでも、文化の中心は決してただ一ヵ所の首都に集注されてはいない。ボストンだけが文化の中心ではないし、パリだけが文化の中軸をなしていると云えない。それぞれの国は、各地方に、独自的な伝統と特色とをゆ・・・ 宮本百合子 「木の芽だち」
・・・二十世紀のはじめピータア・クロポトキンがボストン大学で「ロシア文学の理想と現実」という有名な講義を行った。その当時の内容では、とても予想されがたかった達成が、ソヴェト文学の本質となりつつあるのである。 ジダーノフの堂々として正確な、心情・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ 西部の人として強い血気を蔵していた両親の娘であるアグネスの曠野育ちらしい血気は、一口にアメリカの女といってもボストンあたりの淑女とは質が違っている。腰にピストルをつけ、カウボーイと馬に騎り、小学生のときからひとの台処で働かねばならなか・・・ 宮本百合子 「中国に於ける二人のアメリカ婦人」
・・・ロシアの歴史的なアナーキストであり、地質学者でもある公爵ピョートル・クロポトキンが一九〇一年に、ボストン市で「ロシア文学の理想と現実」という講演をやったことがあった。そのときクロポトキンは、ツルゲーネフの諸作品の重要なモティーヴが殆ど皆恋愛・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
出典:青空文庫