・・・きのうのNHKは、警視庁の役人をマイクに立たせて、減刑運動をとりしまる規則はないし、減刑運動の背後にある思想も言論の自由の立場からとりしまることができない。減刑運動は全国的にひろがってゆく模様だが、国民の冷静な判断にまつよりしかたがない、と・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・新聞には三千五百円の句集ということが話題にされているけれども、この間の晩、三省堂の店頭に据えられたマイクは、あんなに書籍払底を訴えていた。それを訴える声々は、どれもみんな若かった。その声よりも稚い国民学校の子供たち、絵本のほしい子供たち、そ・・・ 宮本百合子 「豪華版」
・・・街頭録音などをきいても、婦人にマイクが向けられると、さあ、という言葉がまずきこえて来ることが少くない。 そして、こういう現象は、日本の封建的だった社会が、婦人の発言をどう扱って来ていたか、ということの反映であるという見解も、家では婦人自・・・ 宮本百合子 「今年のことば」
・・・村山主将が立ってマイクの前であいさつしている。左側に古橋、橋爪その他の選手たちが並んでかけているのだが、その五人はいっせいに頭を下げ視線をおとし、悲壮めいた緊張につつまれている。快活な、スポーティな雰囲気よりも、かたい決意のみなぎるこの写真・・・ 宮本百合子 「ボン・ボヤージ!」
・・・ ラジオの放送番組のことについては、これまで多くの人々から様々の希望も述べられつづけて来ているが、昨今のラジオは、ラジオの特徴、即ちマイクの前でものをいっている側としては、聴きての顔の上にあらわれる刻々の表情の動きをじかに見ないでいって・・・ 宮本百合子 「ラジオ時評」
出典:青空文庫