・・・たとえば音楽にしても聞き慣れたラルゴの曲をプレストで演奏したらもはや何人もそれが何であるかを再認することはできないであろう。またもし蓄音機の盤を正常な速度の二倍あるいは半分の速度で回転させれば単に曲のテンポが変わるのみならず、音程は一オクテ・・・ 寺田寅彦 「映画の世界像」
・・・これはもちろんラルゴかレントの拍子である。このように連句の場合では1と4が緩徐であるのに、音楽のほうでは1と4が急テンポである事自身がまたわれわれにおもしろい問題を提供するのであるが、これについてはあまりに岐路に入ることになるのでここには述・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・ ポラーノの広場のうたつめくさ灯ともす 夜のひろばむかしのラルゴを うたいかわし雲をもどよもし 夜風にわすれてとりいれまぢかに 年ようれぬまさしきねがいに いさかうとも銀河のかなたに ともにわらい・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
出典:青空文庫