・・・曲の各部をリードしている楽器を時々に抽出してその方に吾々の注意を向けてくれる。例えばファゴットの管の上端の楕円形が大きく写ると同時にこの木管楽器のメロディーが忽然として他の音の波の上に抜け出て響いて来るのである。こういうことは作曲者かあるい・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(5[#「5」はローマ数字、1-13-25])」
・・・もっぱら談話をリードしているその中の一人が何か二言三言言ったと思うと他の二人が声をそろえて爆笑する、それに誘われて話し手自身も愉快そうに大きく笑っている。三四秒ぐらいの週期で三声ぐらい繰り返して笑うと黙ってしまう。また二言三言何か言ったと思・・・ 寺田寅彦 「三斜晶系」
・・・若く元気な生徒らの目にはどこかの別の世界から天下って来たような法学士、農学士、文学士の先生たちがシャツ一つになって校庭で猛烈な練習をリードした。生徒らの目には世界が急に素量的に飛躍したように感ぜられた。そうしてさらに次にきたるべき時代への希・・・ 寺田寅彦 「野球時代」
・・・The axe was sharp, and heavy as lead,As it touched the neck, off went the head! Whir―whir―whir―whir!・・・ 夏目漱石 「倫敦塔」
・・・ 男が女性をリードするばかりでなく、女性も男性を導きます。たよりになるのはお互です。お互にたよりになれる人間の仲間としての男女働くものの誇を心にしっかりともって、社会の進歩を導くものとしての自覚をもって生きてこそ、青春に悔いのない日々が・・・ 宮本百合子 「悔なき青春を」
・・・のスモーリヌイの廊下を、こうジョン・リードが書いている。 今、日本女は、同じ廊下で壁新聞をよんでいた。 ずっといい天気つづきだ。廊下のはずれのあいた戸から、しずかな川が見えた。ネ河の支流だ。スモーリヌイの裏を流れている。我々・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・日本の人民生活の全般と日本の民主的文化の建設の仕事が、今日権力者のたくみなリードによってきわめて不徹底におかれようとしている危険な注目すべき現象です。人民の民論はこういう現象に対して率直な意見を展開すべきであると思います。 第二のことは・・・ 宮本百合子 「一九四七・八年の文壇」
・・・アメリカの革命的芸術家団ジョン・リード・クラブは、日本プロレタリア作家同盟に同志の挨拶を送ってよこした。 ロンドンだって、黙ってはいない。世界の革命的プロレタリア芸術運動への激励と、ソヴェトの守りを主張している。 大会の議題と議事録・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
出典:青空文庫