・・・私ごとき才能のない人間が今日作家として立って行けるのは、文壇のレベルが低いからだ。この国では才能がなくても、運と文壇処世術で大家になれるのだ。才能のないものでも作家になれるのが、この国の文壇だ。だから、私でも作家になることが出来た。私はただ・・・ 織田作之助 「私の文学」
・・・常識のレベルにさえ達していなかった。 × しかし彼等は脅迫した。天皇の名を騙って脅迫した。私は天皇を好きである。大好きである。しかし、一夜ひそかにその天皇を、おうらみ申した事さえあった。 × ・・・ 太宰治 「苦悩の年鑑」
・・・tral Meteorological Observatory as well as of its branch observatories, which have now risen to the level of the most ac・・・ 寺田寅彦 「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」
・・・現代の少壮と目されている作家等が、むきだしに十円会と金だかだけの呼び名で一定のレベルの経済生活と文壇生活とをしているグループの会を呼んでいるのは実に面白いと思う。 十円の金は十円の金で、どうでも使える。死金にもなり、悪銭にもなり、義捐金・・・ 宮本百合子 「「大人の文学」論の現実性」
・・・日本では、そういうことのわかるのは専門家だけで、海外なら一般の観衆のレベルがそこまで高いと思いこんでいるようで。 こういう役所の人たちが、日本の文化人のセンスの程度を余りよく知っていないということは、様々の現実の不便を招いているのだろう・・・ 宮本百合子 「国際観光局の映画試写会」
・・・ 工業・農業における社会生産を最低のレベルにおいてでもどうやら保ちつづけたのは勤労婦人の献身でした。一九四〇年以後の日本のすべての炭坑には婦人が入坑し、過重な労役に服してきました。若い勤労婦人は最も危険・有害なあらゆる生産部門においてさ・・・ 宮本百合子 「国際民婦連へのメッセージ」
・・・ 作家生活というものの複雑であり興味ある点は、或種の作家、そしてその作家が一定の到達点にあってそのレベル内で十分活動する社会の事情があると十年の間に漱石、芥川のように相当の仕事をするものですね。そのことはなかなか観察すべきです。彼等は、・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・同時に、それが当時の世界的なレベルでの到達点でもあったのである。 ところが、日々に進み拓けてゆく社会生活の全事情とそれにつれて、より周密に探求されてゆく文学理論の進歩につれて、日本以外の国では、これまで機械的な傾きで哲学と文学とが結びあ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・その中で、優れたものを当時建築が完成しかけていた某邸の広間用として是非おとりになるようにするのだといって、自分の手で建てられた家のそれぞれの場所に、自分の気にも入った世界的レベルの絵画、工芸品の飾られるのを見て、深いよろこびと満足とを感じて・・・ 宮本百合子 「写真に添えて」
・・・又平田氏のように「文学の一般のレベルがもっと高くならなければならぬのだ。だからいきなり農民に判ったりするものか、それは小説の罪ではなくて、うんといいものは判らなくていいのだ」という見解が力をこめて語られたりもしている。われわれの今日の文学が・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
出典:青空文庫