・・・を持出すのや、裁判長のロードの少々勘の悪いところなどが如何にもイギリスらしくて、いつものアメリカの裁判所の場面と変った空気を出しているようである。 どこにもあくどいところやうるさいところがなくて上へ上へと盛り上がって行くような全篇の構成・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(5[#「5」はローマ数字、1-13-25])」
・・・ 作者がこの一篇の女主人公として描き出しているスーザン・ゲイロードは、女のなかの女ともいうべき豊饒な、生活力に満ちた、彫刻の才能にめぐまれた一人の若い女性である。世界で一番いい妻になって、一番いい母になって、そして石や青銅で美しい像をつ・・・ 宮本百合子 「『この心の誇り』」
・・・MRA映画「グッド・ロード」を製作する費用も少くないであろう。世界にこんなに資金豊富な団体がほかにあるだろうか。これだけの経費をまかないながら、MRAの会員が会費を払ったという話はきいたことがない。 世界の疑惑の眼がMRAに集りはじめて・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・〔欄外に〕○丁度一八六〇年頃フナロードの始った頃。 こんなことはない筈と、次に鯉口をくつろげてゆく。又駄目。 四度目に自白して、ニコライの唯一の助手となり生涯を倶し、ニコライはどの位――さんにたよって居たかしれぬ。二人で・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
出典:青空文庫