・・・ 西洋の雑誌を見ると、日本に関した著述の広告は、一週に一、二冊はきっと出ている。近頃ではこれらの書籍を蒐集しただけでも優に相応の図書館は一杯になるだろうと思われる位である。けれども真の観察と、真の努力と、真の同情と、真の研究から成ったも・・・ 夏目漱石 「マードック先生の『日本歴史』」
・・・その代り下町へは滅多に出ない。一週に一二度出るばかりだ。出るとなると厄介だ。まず「ケニントン」と云う処まで十五分ばかり徒行いて、それから地下電気でもって「テームス」川の底を通って、それから汽車を乗換えて、いわゆる「ウエスト・エンド」辺に行く・・・ 夏目漱石 「倫敦消息」
・・・二つの女学校の五年生が、このせつのしきたりにしたがって○○と書かれている工場へ、一週に一度ずつ交替に手伝いに出かけている。一つは市立の女学校であり、この場合の性質は、学校の経営的な原因より、むしろはっきり、戦時的認識を若い娘心に銘させようと・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
・・・お風呂は石炭不足で一週に一度、しかも私はやっと、この頃たつ度に入るようになったばかしです。私の風呂好きがこの有様よ。シュトルムはおっしゃるとおりですから、ヘッセをみつけたいと思います。他に何があるか調べましょう。 十一月十三日 〔巣・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 九月七日 一週間とんでしまいました。あなたは二十九日には手紙を書いて下さいませんでしたか? 日曜日には大変待っていたのだが。――私は今病気なの、珍しく。変に黒い突出たような眼玉をして。三十一日の朝起きるのが苦しかった。無理をして約・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 五年生になってから、私共は教育心理学を教わることになった。そして、先生の人格的の影響は、愈々大きく成った。 一週二時間の教育の時間を、私は如何那に待ち、楽しんだろう。私にとって学問らしい学問は、千葉先生の時間ほかなかった。僅か一時・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
・・・ 一生懸命で経済学原理、万国貨幣制度、憲法などを研究しました。 学校を卒業すると、彼女は希望通りミスタ・シムコックスと云う人の秘書役として、事務所に通うことになりました。 一週二十五志の月給で、ちゃんと一人前に出勤し、自分の力で・・・ 宮本百合子 「「母の膝の上に」(紹介並短評)」
・・・ 肝臓のために一週二度ずつ沐浴が出来る。何と楽しい課目! 生れて始めて凹んですき間の出来た股を 湯のなかで自分は愛撫した。 壁際の黒皮ばり長椅子に二十歳のターニャが脚をひろげてかけて居る。白い上被りの中で彼女は若々しい赧ら顔と金・・・ 宮本百合子 「無題(七)」
・・・――日曜日の午後ハイド・パアクはハイド・パアクの附近に住みながら一週に一遍だけそこを散歩出来る連中――事務員。料理女。いろいろな家庭雇人の洪水である。 小みちも草原も人だ。人だ。 自然と人間の割合がこんなに逆になる日曜日彼らの主人達・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫