・・・…… 以前、あしかけ四年ばかり、相州逗子に住った時(三太郎と名づけて目白鳥がいた。 桜山に生れたのを、おとりで捕った人に貰ったのであった。が、何処の巣にいて覚えたろう、鵯、駒鳥、あの辺にはよくいる頬白、何でも囀る……ほうほけきょ・・・ 泉鏡花 「二、三羽――十二、三羽」
・・・先にいつだったか私と一緒に来た時もそうでしたが、多勢人が居て、ガヤガヤして居る時には只はしゃぎ廻って、私が止めるのをわざと写生をして居る人の顔をのぞきに行ったり、息を切らして下らない、「お馬鹿三太郎だの何だのと云っては兄達を・・・ 宮本百合子 「小さい子供」
・・・ ○「おじいさん何か昔のお話をきかせて下さいとさ、「何? 昔のおはなしかね、……ハイ昔のおはなし、桃太郎 彼は長火鉢の上にのって居たくりものの桃の菓子器か何かをさした。 ○三太郎と云う猫がひろって育ててある。 ○・・・ 宮本百合子 「「禰宜様宮田」創作メモ」
出典:青空文庫